日記

第6回ワグネル・ガラコンサート

はじめまして。145代Bassの菅沼です。
なりそこないの裸木や、変わりはじめた木の葉の色に秋を感じる季節になりました。秋の澄んだ夜空に浮かぶ月などを見ると、とても郷愁的な気分になりますが、去る10月9日に行われた第6回ガラコンサートはまさにそのようなコンサートでした。

ガラコンサートはワグネルOBの方々が、かつて共に歌った仲間たちで集まり、当時歌った曲の中から数曲を再演するコンサートです。数十年前にワグネルを卒団したOBの方々の曲目に、私の歌ったことのある曲がちらほら含まれているところに、合唱の素晴らしさというか、何か大きなものを感じました。我々現役はそこに混ざる形で、多田武彦作曲の組曲『吹雪の街を』から「忍路」「夜の霰」の2曲と信長貴富作曲の「木」を演奏しました。『吹雪の街を』は11月11日に行われる第142回定期演奏会で演奏予定の組曲で、北海道の情景と一人の青年の心情を絡めた美しくも人間味のある曲です。「木」は個人の心情を捉えている『吹雪の街を』とは打って変わって、どこにでもある1本の木から世界を捉える、身近な存在からとても巨大な存在につながっていく、谷川俊太郎らしい詩から生まれた荘厳な曲になっています。テイストの違う曲を歌い分けるのは難しいことでしたが、本番ではうまくそれぞれの世界を歌えたと思います。

ガラコンサートの最後を締めくくったのは我々現役と全OBによる合同ステージで、組曲『八木重吉による五つの歌』の演奏でした。この組曲は、秋の様々な良さを捉えた詩を書く八木重吉の詩に、常任指揮者としてワグネルを長い間支えてくださっていた故畑中良輔先生が歌曲として作曲したものを、現在ワグネルの常任指揮者である佐藤正浩先生が合唱編曲した非常に豪華な組曲で、この時期にワグネルが歌う曲としてこれ以上の曲はないように思います。

美しく鮮明で、また郷愁的でいて寂しさもある。今回のガラコンサートはまさに秋そのものでした。