皆様はじめまして。この春、慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団に入団いたしました、153代バリトンの小谷祐斗と申します。蝉しぐれの賑わいが夏の訪れを知らせる今日この頃、入団からの時の流れの速さをしみじみと感じております。日増しに暑さが厳しくなってまいりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。
去る7月7日、東京都目黒区のめぐろパーシモンホールにて、我々153代の新入生演奏会が開催されました。今年度の新入団員が単独で演奏する初めての舞台となりました。立て続けに東西四連や金の卵コンサートといった大きな行事がある慌ただしい日程の中ではありましたが、先輩方に助けて頂きながら精一杯練習し、舞台で演奏できたことを嬉しく思っております。
第1ステージはカレッジソングステージで、「慶應義塾塾歌」「若き血」「我ぞ覇者」の3曲を演奏いたしました。特に塾歌については、“ワグネリアンたる者、塾歌は最も美しく歌わねばならない”という使命感のもと、練習時間以外でも部室に自主的に集まるなど練習を重ねて力を入れて磨き上げてまいりました。このステージにおいて、慶應社中で長年歌い継がれてきたカレッジソングを演奏することへの責任を強く感じるとともに、それらの伝統をこれからも引き継いでいく決意をいたしました。
第2ステージは日本語曲ステージで、「いざ起て戦人よ」「鷗」「酒頌」「斎太郎節」の4曲を演奏いたしました。各曲の言葉の響きや情景の違いを意識しながら、日本語の繊細な表現力を大切にして歌い上げました。特に「鷗」では、静けさの中にある強い感情をどう表現するかに悩みながら、試行錯誤を重ねてまいりました。母語で歌うからこそ味わえる言葉の重みを実感し、音楽表現の奥深さに気づかされました。
第3ステージは外国語曲ステージで、「U Boj!」「Ride the chariot」「Slavnostní sbor」を演奏いたしました。私はRide the chariotのソリストを務めさせていただきました。一歩前に出た時は非常に緊張しましたが、観客の皆様より温かい拍手を頂戴し、歌うことのできるありがたさと楽しさを改めて実感いたしました。クロアチア語の楽曲である U Boj!は、合唱を始めたばかりの私たちにとっては当初非常に難易度の高いものでした。しかし、4月の練習開始からこの日に至るまで熱心にご指導くださった、151代学生指揮者の池内先輩の指揮に精一杯ついていき、本番ではしっかり歌い切ることができました。
第3ステージの後には、来場してくださった先輩方により、先日の東京六連で演奏された「合唱のためのコンポジション 第6番『男声合唱のためのコンポジション』からII」と、私たち新入生も加わり、「Slavnostní sbor」を披露しました。そしてお越しくださった方々からの予想外の手拍子に応え、アンコールとして「若き血」を演奏いたしました。先輩方の歌声は圧巻で、響きや声量などあらゆる面で格が違い、ワグネルトーンの素晴らしさに感動いたしました。Slavnostní sborは東西四連のストームでも演奏をした思い入れの深い曲です。先輩方と合同でさらに迫力のある演奏ができたと自負しております。
この演奏会を通して、私はワグネルの温かさを感じました。演奏会が終わった後、先輩方から私たちへ「良い演奏だったよ」など、労いのお声を多く掛けていただきました。私はこんな温かい雰囲気のワグネルに入団して本当に良かったと感じました。この空気を私たちはしっかりと受け継いでいきます。
最後になりますが、本演奏会に向けて指導してくださった先輩方や先生方、当日ご来場下さった方をはじめ、支えてくださった全ての方々へ感謝申し上げます。153代一同、ワグネルの良き伝統やハーモニーを継承し、さらに良いものにしていくために必死に努力していく所存です。ときに優しくときに厳しいご声援のほどよろしくお願いいたします。今後の153代にどうぞご期待ください!