日記

第148回定期演奏会

去る12月16日に、東京芸術劇場コンサートホールにて慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団第148回定期演奏会を開催いたしました。この度の演奏会でお世話になった先生方、OBの皆様、関係者の皆様、そして会場やオンライン配信にて148代の演奏を聴いてくださった皆様に、御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

第1ステージでは、佐藤正浩先生の指揮でプーランク作曲の『Laudes de Saint Antoine de Padoue』、『8 Chansons françaises』より「La Belle si nous etions」を演奏いたしました。練習では、フランス語の発音やプーランク独特の音色・響きを掴みきれない団員が多く、佐藤先生に何度も「今までの歌い方ではダメだ」とご指摘いただきました。なかなか苦戦しましたが、最終的には納得のいく良い演奏に仕上がったのではないかと思っております。

第2ステージでは、客演指揮者としてキハラ良尚先生をお呼びし、池辺晋一郎作曲の『東洋民謡集Ⅳ』を演奏いたしました。キハラ先生は東京混声合唱団が本曲集を初演した際の指揮者であり、初演時の苦労話も交えて、ご指導していただきました。曲調の全く異なる三曲が一つの曲集としてまとまっており、演奏時間こそ短いものの、歌うには大変集中力のいる曲集となっております。キハラ先生はこの曲集を指揮する上で、新たなワグネルのキャラクターを引き出したい、という思いを団員にぶつけておりました。本番では、例年のワグネルからは考えられないような、民謡の独特な世界を、ご来場いただいた皆様にお楽しみいただくことができたのではないでしょうか。このような素敵な曲に出会うきっかけをくださったキハラ先生には、深く感謝申し上げたいと思います。

第3ステージでは、学生指揮者の金岡翼指揮、永澤友衣先生のピアノで、上田真樹作曲の『鎮魂の賦』を演奏いたしました。147代から148代に代替わりした時点では既に、本組曲を定演で演奏したいと金岡が話しており、一年以上の間、温めてきた組曲となります。8月に練習を開始する以前から、本組曲を聴くだけで泣きそうになるという団員もおりました。練習では、金岡を中心とした技系陣による熱心な指導により、楽しみながらも着実に成長できたのではないでしょうか。本番でもその成果を遺憾なく発揮できたと思っております。また永澤先生には、夏合宿より金岡の想いに寄り添い、ピアノを弾いていただきました。ありがとうございました。

休憩を挟み、第4・5ステージとして、佐藤正浩先生の指揮、前田勝則先生のピアノで、信長貴富編曲の「『若者たち』昭和歌謡に見る4つの群像」、そして、信長貴富作曲の「Fragments -特攻隊戦死者の手記による-」を演奏いたしました。「戦争ものを扱いたい」という佐藤先生の想いが詰まったステージとなっており、『若者たち』の3曲目と4曲目の間に「Fragments」を演奏するという案も、佐藤先生によるものです。また、照明や並び等の演出は団員が考えました。ついつい練習帰りにメロディーを口ずさんでしまうような、親しみやすい名曲ぞろいのステージとなっておりますが、実力不足なところが大きく、練習では何度も先生に怒られました。緊張感のある中で迎えた本番ですが、最終ステージに相応しい、熱い想いが詰まった演奏ができたと思っております。

その後、佐藤先生、キハラ先生、金岡によるアンコール、そしてストームを行いました。『丘の上』の2番、卒団生のみで歌うパートでは、148代の同期と過ごした4年間の集大成として、涙を流しながら、全力で歌いました。

148代は、昨年度では実現できなかった春合宿や六連の合同ステージ、ドイツ遠征も実現でき、コロナ禍以前のワグネルライフが完全に戻った代です。そのため、コロナ禍を経て失われた技術やノウハウを完全に取り戻した上で、さらに質の良いものにしていかなければならないというプレッシャーがある中、活動をしてまいりました。練習をしていく中で辛いこともたくさんありましたが、定期演奏会本番は、148代の力を全て出し切ることができたと思っております。148代の演奏は、いかがでしたでしょうか。

今後はOBとして、現役の活動がより一層発展し、何十年も続いていくことを心より願っております。

今後とも慶應義塾ワグネル・ソサィエティー男声合唱団をどうぞよろしくお願いいたします。

148代責任者 松井 直也